AIガイドライン

AIガイドラインの基本|国の指針をそのまま使える?社内ルールとの違い

AIガイドラインの役割を、国の指針と社内規程の違いから解説します。既存の情報管理ルールで決まっていることと、AI利用のために追加することを分け、文書の重複や適用範囲のずれを確認します。

病院の既存規程とAI利用の条件を照合する
写真はAI生成のイメージです。

社内のAIガイドラインは、AIを使う業務の条件を社員が確認するための文書です。国の指針を参考にしながら、既存の社内規程で決まっていることと、AIの利用に合わせて補うことを整理します。新しい文書を一から作るべきか、既存規程への追記で足りるかも、この整理から判断できます。

01社内のAIガイドラインの役割

たとえば、会社の情報セキュリティ規程に、社外秘の資料は許可なく外部へ送信しない、と書かれているとします。営業担当者がAIで提案書を整えたいとき、この規程は適用されます。ただし、どのAI機能が外部へ何を渡すか、生成された文章を何と照合するかまでは書かれていないかもしれません。

社内のAIガイドラインは、こうした仕事の場面を既存の規程につなぎます。入力に使える機能、確認する資料、出力を業務で使う条件を補い、社員が参照する文書を探せるようにします。

対象は、会社がすでに認めているAIの使い方にも及びます。承認済みツールで作成した回答でも、商品価格や納期を人が確認する工程は必要です。未承認の利用を把握する際の考え方は、シャドーAIの基本|禁止した社内でも起きる?発生する経路と利用実態の調べ方を参照してください。

ポイント新しい文書が必要かを考えるときは、今の規程を読むだけで、入力から出力の利用まで判断できるかを確かめます。答えが出ない場面を、AIガイドラインで補います。

02国の指針との違い

総務省と経済産業省は、AIを開発、提供、利用する事業者向けにAI事業者ガイドラインを公表しています。2026年3月31日には第1.2版が掲載されました。国の指針は、事業者が安全性やプライバシーなどに配慮して取り組む際の参考となる文書です。経済産業省「AI事業者ガイドライン」第1.2版の掲載案内。

文書主に決めること自社で補うこと
国のAI事業者ガイドライン事業者が取り組む際の共通の考え方自社の利用業務、判断基準、担当者
社内のAIガイドライン社員の利用条件と会社の管理方法部署の業務例、承認済みツールの一覧
現場向けの早見表日常業務でよく出る判断と連絡先詳しい条件を確認できる本文への案内

国のガイドラインは、事業者の自主的な取組を促す非拘束的な指針として作られています。一方、個人情報保護法など、AIの利用にも適用される法令があります。ガイドラインの位置づけと、法律に基づく義務は分けて確認します。内閣府・AI戦略チーム「AI制度に関する考え方」について(2024年5月)。

国の文書を配布しても、自社の取引先資料をどこまで入力できるかは決まりません。現場で必要な判断を、社内の契約と情報管理の基準につなげる作業が残ります。

院内AI利用ガイドラインと既存規程、業務別表、早見表の参照関係
病院での業務例:院内AI利用ガイドラインと既存規程、業務別表、早見表の参照関係図を拡大して見る ↗

03既存の社内規程との関係

管理部門は、AIの利用場面ごとに参照する既存規程と、不足している説明を並べます。次は、追加する内容を検討するための例です。

既存の文書その文書を参照する内容AI利用に合わせて補う例
情報セキュリティ規程外部への情報送信、アカウント管理ファイル入力や文書検索など、機能ごとの対象範囲
個人情報の取扱規程利用目的、提供、安全管理承認済みの用途と入力項目を現場が調べる方法
文書管理規程業務記録の保存先と保存期間AIの下書きと採用した最終版を、どこに保存するか
顧客対応の手順書回答の確認者と送信の承認AIの回答案を、元の問い合わせや商品情報と照合する箇所

既存規程の条文をそのまま複製すると、どちらかだけ改訂された際に食い違います。共通の条件は元の文書を参照し、追加事項をAIガイドラインに記載する方法があります。文書名だけでなく、該当する章や参照先まで案内します。

既存規程と異なる条件を設けたい場合は、AIガイドラインだけを更新して済ませません。元の規程を管理する担当者と、変更の要否や承認方法を確認します。文書ごとの具体的な項目は、AIガイドラインの項目|何をどこまで書く?社内で決める内容と文書の分け方にまとめています。

04作成と運用に関わる担当者

専任のAI担当者がいない会社でも、最初から大きな委員会を作る必要はありません。総務や情報システム部門などが取りまとめ役になり、確認事項ごとに相談相手を決める方法があります。

担当確認・判断する内容
取りまとめ役利用状況を集め、未決定事項と改訂履歴を管理する
業務部門使いたい仕事、入力資料、出力を使う相手を説明する
情報システム担当サービスのデータ処理と管理機能を確認する
法務・個人情報の管理担当取引先との契約や個人情報の取扱条件を確認する
経営層・承認権限者許容する利用範囲と必要な予算・担当体制を承認する

一人が複数の役割を兼ねても構いません。ただし、サービスの仕組みを確認する仕事と、会社として利用を認める判断は、区別して記録します。担当者に確認を頼んだだけで、承認まで済んだことにしないためです。

05新規作成と追記の判断

すでに外部サービスの利用条件と業務上の確認手順がそろっている会社なら、AI特有の事項を別表や補足資料として加える方法があります。逆に、部署ごとに判断が分かれ、参照する規程も散らばっている場合は、共通のAIガイドラインで整理する方が確認しやすくなります。

たとえば、広報部だけが公開済みの記事の要約に使う場合と、営業、人事、開発がそれぞれ異なる資料に使う場合では、整理する範囲が違います。ページ数の目標を先に決めず、対象とする業務と、既存規程で答えが出ない事項を数えます。

利用状況を調べる方法は生成AIの利用実態調査|何を聞けば分かる?社内アンケートの設問例と結果の読み方、材料を集めた後の工程はAIガイドラインの作成|何から始める?利用状況の確認から社内周知までで確認できます。

外部へ作成を依頼する場合も、既存規程を活用する範囲と、新たに判断が必要な範囲を伝えます。社内文書の一覧と、現在困っている業務例があれば、依頼する作業を具体化できます。

06まとめ

AIガイドラインを作る際は、国の指針、既存の社内規程、現場の業務手順の関係を整理します。既存規程で判断できる事項は参照し、AIの入力や出力の利用で説明が足りない部分を補います。対象業務と不足事項から、新規作成か既存文書への追記かを決めます。

07よくある質問

Q. AIを開発していない会社にも必要ですか

業務で外部のAIサービスを使うなら、入力情報や出力の確認方法を決める必要があります。開発のルールをそのまま取り入れる必要はありません。自社が実際に使う機能と業務を対象にします。

Q. 数人しか使っていない場合は、簡単なルールでもよいですか

利用業務が限られていれば、短い本文とツールの一覧から始められます。ただし、少人数でも取引先の機密資料や個人情報を扱うなら、その条件の確認は必要です。人数より、扱う情報と出力の使い道で確認の範囲を決めます。

Q. 国のガイドラインを社内向けに書き換えれば完成しますか

自社の資料、契約、担当者に合わせた判断が残ります。たとえば個人情報の入力では、サービス側での利用方法と取得時の利用目的を確認します。個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」でも、この点を確認するよう求めています。

自社に必要なルールの範囲からご相談ください

既存の社内規程とAIの利用業務を踏まえたガイドライン作成についてご案内します。

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