AIガイドラインを作るときは、使っているサービスと業務を確認し、利用条件を決め、社内で承認してから周知します。作業を進める目印になるのは、各段階で誰が何を決めたかです。担当者が一人で抱え込まないよう、確認先と残す資料を工程ごとに分けます。

01利用状況と既存規程の確認
取りまとめ役は、利用実態調査で集めた業務例と、関係する既存規程を作成の材料にします。調査そのものの設問と進め方は、生成AIの利用実態調査|何を聞けば分かる?社内アンケートの設問例と結果の読み方にまとめています。
策定作業では、集まった回答を、会社として判断が必要な事項に書き換えます。たとえば、提案書作成に使いたい、という回答だけでは文書化できません。公開済みの商品説明を整える用途と、取引先から受け取った仕様書を要約する用途に分け、関係する規程や契約を付けます。
ひとつの業務に複数のサービスがある場合も、用途を単位に整理します。サービスの一覧だけでは、どの仕事の利用条件が未決定なのかを追いにくいためです。実物の資料は、内容の確認が必要な担当者に限って共有します。

Check調査の回答を、そのままガイドラインの本文にしません。取りまとめ役が、決める必要のある事項と、すでに規程で決まっている事項を分けます。
02未決定事項と判断の記録
部署間で意見が分かれたら、懸念と確認すべき事実を分けます。営業は早く使いたい、管理部門は不安だ、という記録では次の作業が決まりません。確認する資料と担当者が分かる形にします。
| 未決定事項の例 | 次に確認するもの | 記録する判断 |
|---|---|---|
| 取引先の仕様書を要約したい | 受領時の契約と外部サービス利用の条件 | 当該案件で認める範囲、保留する部分 |
| 顧客への回答案を作りたい | 入力する項目と、回答を確認できる業務担当者 | 使える入力項目と確認工程 |
| 導入済みツールの新機能を使いたい | 既存の承認範囲と新機能による変更点 | 追加審査の対象と、確認が済むまでの扱い |
未決定事項には、確認先、回答予定日、判断の根拠を付けます。取引先への確認が必要な案件を、会社の責任者が了承したという理由だけで承認済みに変えないようにします。個人情報を扱う用途の法令上の確認は、生成AIへの個人情報入力|名前を消せば大丈夫?法令の確認と社内ルールの決め方で扱います。
一部が保留でも、確認済みの用途だけを文書化できます。保留中の用途は一覧に残し、今回の適用範囲に含まれないことを明記します。ツール選定と利用申請の手順は、シャドーAIの対策|禁止だけで終わらせない、承認ツールの選び方と申請窓口の作り方を参照してください。
03原稿の作成と業務例による試読
決定した条件を本文や別表へ移します。章の構成はAIガイドラインの項目|何をどこまで書く?社内で決める内容と文書の分け方を参照し、策定中の判断記録と、社員が読む文書を分けます。調整の経緯まで本文へ入れると、日常の確認に必要な条件が見つけにくくなります。
原稿ができたら、業務担当者に次のような業務場面を読んでもらいます。文書を読んで同じ判断にたどり着けるかを確認します。
| 試読のケース | 読み手に答えてもらうこと | 修正につながる結果 |
|---|---|---|
| 公開済み資料に、社内用の価格メモが付いている | どの部分を、どの条件で利用できるか | ファイル名だけで公開資料と判断してしまう |
| 要約した回答を、取引先へ送ろうとしている | 何を照合し、誰の確認を受けるか | 出力確認と送信承認を混同する |
| 承認済みの使い方に、文書検索を追加したい | 追加で何を確認するか、どこを参照するか | サービス名が同じなら全機能を使えると読む |
読み手が違う答えを出したときは、理解不足と決めつけず、条件の書き方を見直します。修正後は同じケースで再度確認します。想定した答えの根拠となる条項や別表も、策定側で控えておきます。
04社内承認と開始日の決定
承認権限者へは、原稿とあわせて、今回認める範囲、残った保留事項、適用開始日を示します。本文の承認と、実際に使い始められる状態になったことは、別々に確認します。
| 確認する段階 | 確認できた状態 |
|---|---|
| 原稿の承認 | 対象業務、利用条件、判断の担当者について関係部門の確認が済んでいる |
| 利用環境の準備 | 今回認める機能と設定が用意され、担当者が確認している |
| 切替の準備 | 旧ルールの終了日と新ルールの適用日、移行中の扱いが決まっている |
| 開始の判断 | 社員が最新版を参照でき、保留中の用途が承認済みと混同されない |
本文の承認後に設定変更が間に合わなければ、開始日や対象業務を調整します。個人アカウントからの具体的な切替手順は、ChatGPTの個人アカウント利用|業務に使って大丈夫?会社契約との違いと移行手順を参照してください。
05周知への引き渡しと改訂管理
策定担当者は、承認済みの本文と別表、適用日、変更点を周知担当者へ渡します。説明会と早見表の作り方は、生成AIルールの社内周知|配って終わりにしない、早見表と相談窓口の作り方にまとめています。
説明資料を作る際に条件を言い換えたら、本文の意味が変わっていないかを策定担当者が確認します。たとえば、公開済みの商品説明に限るという条件を、営業資料は利用可と短くすると対象が広がります。
運用後の改訂では、どの判断を変えたかを残します。説明例だけの追加か、許可する情報や機能の変更かで、再確認する担当者も変わります。変更した箇所、理由、確認者、適用日を記録し、関連する別表と説明資料を同時に更新します。
06まとめ
調査結果から会社として決める事項を取り出し、判断の根拠と保留事項を記録します。原稿は具体的な業務例で試読し、承認後に利用環境と切替の準備を確認します。周知担当者へ引き渡す際は、本文と説明資料で条件がずれていないかも確かめます。
07よくある質問
Q. すべての部署の調査が終わるまで待つ必要がありますか
利用範囲を限定できるなら、確認済みの部署と業務から始められます。対象外の部署や保留中の用途まで承認したように読めないよう、対象と次の確認予定を明記します。
Q. 情報システム担当が一人で作ってもよいですか
取りまとめは一人でもできます。ただし、入力資料の機密性や契約条件、出力を使う際の業務判断には、その内容を把握する担当者の確認が必要です。確認依頼の一覧を作り、担当者ごとに依頼します。
Q. どの部分を外部に依頼すると進めやすくなりますか
部署ごとの判断を共通の基準にまとめる作業や、既存規程との食い違いを確認する作業が候補です。社内で決めるべき利用目的や承認責任まで外部へ任せきりにせず、依頼する範囲を分けます。作業が止まっている事項を持って相談すると、必要な支援を絞れます。
出典・参照資料(2026年9月11日確認)
